ー冬の道の駅、家族で川の字になって眠る夜。あれが、いちばんの避難訓練なんかもしれません。

結論から言うと、冬の車中泊避難で命に関わるのは「一酸化炭素」「エコノミークラス症候群」「寒さ」の3つです。
どれも高い装備で防ぐもんやなくて、エンジンを切る・足を伸ばして寝る・電気で暖をとるという基本で防げます。普段から車中泊しとう家族なら、体が覚えとうことばかり。
幸い、我が家は災害で車中泊避難をしたことは一度もありません。
それでも、冬の車中泊を家族で繰り返してきたことがそのまま避難の練習になっとうと感じています。

普段から車中泊してへん人でも、車中泊避難ってできるんっスか?

できるで。ただ、ぶっつけ本番はしんどい。まずは家の駐車場で一晩寝てみるだけでもええねん。寝られるか、寒いか、トイレどうするか。一回やったら、何が足りんかが全部わかるで!
この記事では、冬の車中泊避難が危ない理由を数字で押さえたうえで、我が家の冬の夜の過ごし方と、電気が何日もつかの目安をまとめました。
寝袋やマットなど冬の装備そのものは冬の車中泊ガイドにまとめとうので、ここでは避難ならではの話に絞ります。
冬の車中泊避難が危ない3つの理由

冬の車中泊避難で気をつけたい危険は、大きく分けて3つ。
どれも「寒いからエンジンをかける」「座ったまま眠る」「暖をとる手段がない」という、避難の夜にありがちな状況から起きます。
数字で見ると思っとった以上に怖いので、ひとつずつ押さえておきましょう。
一酸化炭素:雪でマフラーが埋まると、20分あまりで危険な濃度に

いちばん怖いのが、雪の中でエンジンをかけたままにすることです。
JAFのテストでは、マフラーのまわりが雪で埋まった車でエンジンをかけると、約16分で車内の一酸化炭素が400ppm、22分で測定上限の1,000ppmに達しました。
400ppmは、そのまま3時間で命に関わるとされる濃度。
一方で、マフラーのまわりを除雪した車では、一酸化炭素はほとんど検知されていません。
ちなみに、除雪せずに運転席の窓を5cmほど開けたテストでも、40分あまりで800ppmまで上がっています。
「窓を少し開けとったら大丈夫」は、雪の夜には通用しません。
避難中は「寒いからエンジンで暖まろう」と考えがちですが、雪の夜は特に危険です。
どうしてもエンジンをかけるときは、先にマフラーのまわりを除雪することと、寝るときは必ず切るのが鉄則になります。
一酸化炭素は色もにおいもなく、最初の症状も頭痛や吐き気など風邪に似とうので、気づきにくいのも怖いところ。詳しくは冬の車中泊ガイドにまとめています。
エコノミークラス症候群:一年中起きるけど、冬はさらに危ない

2016年の熊本地震では、熊本県の被災者アンケートに答えた2,297人のうち1,568人、約7割が車の中での避難を経験したと答えました。
その一方で、本震から2日後までに18人が肺塞栓症を発症し、全員が車中泊をしていたと報告されています。
熊本地震が起きたのは4月。エコノミークラス症候群は、寒さとは関係なく一年中起きるものです。
原因は、狭い座席で足を曲げたまま長い時間を過ごすこと。
そのうえ冬は、外が寒いのでトイレに出るのがおっくうになりがちです。
水分を控えたりトイレを我慢したりすると、リスクはさらに上がります。
対策はシンプルで、足を伸ばして横になれる寝床をつくること、こまめに水を飲むこと、ときどき車の外に出て足を動かすことです。
寒さ:エンジンを切った車内は、夜のうちにどんどん冷える

一酸化炭素が怖いからエンジンは切るのが基本ですが、エンジンを切った車内は、夜のうちにどんどん冷えていきます。
だからこそエンジンに頼らずに暖をとる手段が要るわけです。
我が家の場合、その役目を担っとうのが電気毛布とポータブル電源。
電気毛布が一晩でどれくらい電気を使うかは、実測した記事にまとめました。
普段の冬の車中泊が、そのまま避難の練習になってる

ここからは、我が家の冬の車中泊の夜の話です。
特別なことはしてへんのですが、避難の目で見直すと「これが練習になっとったんや」と気づくことがありました。
家族で川の字。足を伸ばして雑魚寝

寝るときは、家族で川の字になって雑魚寝。
ハイエースにベッドキットを組んどうので、全員が足を伸ばして横になれます。
これ、エコノミークラス症候群の対策そのもの。
座席に座ったまま朝を待つのとは、体への負担がまったく違います。
普通の乗用車でも、シートを倒して荷物をどかせば横になれる車はけっこう多いはずです。
「うちの車で家族全員が横になれるか」を一度試しておくと、いざというときに迷いません。
寝床の作り方は車中泊仕様の作り方に費用つきで書いとうので、参考にしてください。
夜中のトイレは寝とう家族を起こさんようにそーっと

夜中にトイレで目が覚めたときは、寝とう家族をできるだけ起こさんように、そーっと動きます。
道の駅やRVパークで泊まった夜、車内は電気毛布で温かいのに、ドアを開けると外は別世界の寒さ。
なので、トイレに行くときはしっかり防寒してから外に出ます。
避難のときも、トイレは車の外です。
避難所や公園のトイレまで、暗くて寒い中を歩くことになります。
「寝とう家族を起こさんように静かに動く」と「外に出る前にしっかり着込む」の2つ。これが身についとうだけでも、避難の夜のしんどさはずいぶん違うはずです。
逆に、寒いからとトイレを我慢して水分を控えるのは逆効果。エコノミークラス症候群のリスクを上げてしまいます。
電気毛布の一晩を何度も経験してる

冬の車中泊では、電気毛布をポータブル電源につないで一晩使うのが当たり前になり、一晩でどれくらい減って、朝にどれくらい残るかが、感覚でわかるようになりました。
避難のときにいちばん不安なのは「電気がいつまでもつか分からへん」ことですが、普段から使っとう人はその不安が最初から小さいんです。
電気は何日もつ?冬の車中泊避難の目安

冬の車中泊避難で使う電気は、電気毛布1枚の一晩(約400Wh・実測)と、スマホ数台と照明(約100Wh)を合わせて1日約500Whが目安になります。
これをポータブル電源の容量で割ると、何日もつかが見えてくるはず👇
| 容量 | 冬に何日もつ? (1日約500Wh) | 判定 |
|---|---|---|
| 500Whクラス | 約1日 | △ 一晩がギリギリ |
| 768Whクラス | 約1.5日 | ◯ 一晩は安心 |
| 1024Whクラス | 約2日 | ◎ 2晩いける |
| 3台持ち(2,816Wh) =うちの構成 | 約5.5日 | ◎ 5晩いける |
※実測は残量表示の減り方から出した数字なので、変換ロスも込みです。電気毛布の実測は気温15℃の自宅でのもの。氷点下の車内では毛布が温め直す回数が増えるので、これより早く減ると見ておいてください。
1台で同じくらい持たせたいなら3,000Whクラスという選択肢もありですが、26kgあるので避難で車に積むなら重さも大きさも考えておきたいところです。
ポータブル電源を品定めした話はこちらにまとめました。
家族の人数や使う家電を変えて計算したいときは容量シミュレーターが便利👇

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走行充電は、ガソリンがあってこそ

我が家はオルタネーターチャージャーで、走りながらポタ電を充電しています。
普段の車中泊なら、移動のたびに電気が戻るので残量を気にすることはほとんどありません。
ただ、災害のときは話が別です。
道路が通れへんかったり、ガソリンスタンドが止まったり長い行列になったりで、気軽に走れるとは限りません。
充電のためだけにアイドリングするのも、雪の日は一酸化炭素の危険があるうえ、燃料も減っていきます。
だからこそ効いてくるのが、燃料メーターが半分になったら満タンにする習慣。
これは石油業界の「満タン&灯油プラス1缶運動」の呼びかけで、資源エネルギー庁や内閣府も後援しています。
走行充電の仕組みや使い勝手は、レビューにまとめました👇

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ソーラーパネルは、車を動かせへん日の味方

道がふさがったりガソリンが手に入らへんかったりで、車を動かせへん日もあります。
そんな日でも、晴れてさえいれば電気を足せるのがソーラーパネル。
我が家はEcoFlowの220Wソーラーパネルを、移動の少ない日にルーフの上に載せて使っています。
晴れた日にルーフに平置きで130W前後、いちばん出たときで160Wほどで、冷蔵庫を動かしながらでも80W前後は充電できとう感じです。
仮に130Wで3〜4時間発電できたら、約400〜500Wh。冬の車中泊避難の1日分(約500Wh)に近い量を、日中のうちに取り戻せる計算になります。
ただ、冬は日が短く、太陽の位置も低め。夏より発電量は少なくなると見ておいたほうが安心です。
走れる日は走行充電、走れへん日はソーラー。
2つそろうと、電気の不安はかなり小さくなります。
正直な不満は重さ。うちのは初代で約9.5kgあり、ルーフに上げ下ろしするのはなかなかしんどいです。今の軽量モデルは約5.1kgまで軽くなっています。
ルーフに載せて実測した話は、レビューにまとめました👇

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車中泊避難をする前に決めておくこと

最後に、冬に限らず車中泊避難をするなら、前もって決めておきたいことです。
- どこに停めるか:内閣府は2024年6月に「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」を出していて、市町村が車中泊できる場所を平時から決めて公表する想定になっています。住んでいる市町村のサイトで一度調べておくと安心。浸水や土砂崩れの心配がある場所は避ける
- ガソリンは半分で満タン:走れるかどうかが、すべての前提
- 何泊までにするか:車中泊避難は長く続けるものではないとされています。長引くなら避難所や親戚の家も考えておく
- 夜中のトイレ:外へ出る前提で、すぐ羽織れる防寒着を手の届く場所に
- 家族全員が横になれるか:一度、家の駐車場で試しておく

車があったら、避難所に行かんでもずっと車で過ごしたらええんちゃうんっスか?

そこが落とし穴やねん。車中泊避難は何日も続けるもんやない。車で過ごすときも、近くの避難所に『車で避難してます』って伝えとくと、水や食べ物、情報が届きやすくなるで。車の中の電気は、ポタ電があったら数日はしのげる!
よくある質問(FAQ)
Q. 夏の車中泊避難でも同じ考え方でいいですか?
夏は寒さの代わりに、熱中症がいちばんの危険になります。ハイエースのようなエンジン車のエアコンは、ポータブル電源では動かせません。日陰に停める、窓を少し開けて風を通す、扇風機を回すといった対策が中心。車の中に子どもだけを残さないことも鉄則です。エコノミークラス症候群は夏も同じで、汗で水分が抜けるぶん、こまめな水分補給がより大事になります。
Q. 普通の乗用車でも車中泊避難はできますか?
できます。ただし、座ったまま寝る夜が続くのは危険。エコノミークラス症候群のリスクが上がるので、シートを倒して荷物をどかし、足を伸ばして横になれるかを家の駐車場で一度試しておいてください。
Q. ポータブル電源はどれくらいの容量があれば安心ですか?
冬の車中泊避難なら、電気毛布1枚とスマホ・照明で1日約500Whが目安です。1024Whクラスで約2日、768Whクラスで約1.5日。それより長く備えたいなら、2台持ちや走行充電・ソーラーとの組み合わせを考えるのが現実的になります。
最後にひとこと。
防災のために、わざわざ特別な訓練をするのはなかなか続きません。
でも、家族で川の字になって眠る冬の夜なら、楽しみながら何度でもできます。
寒い外へトイレに出て、寝とう家族を起こさんようにそーっと戻ってくる夜。
朝になったら、ポータブル電源の残量を確かめます。
その一つひとつが、いざというときに家族を守る練習になっとうと思うんです。
うちは災害で車中泊避難をしたことはありません。この先も、せずに済むのが何より。
それでも次の冬の週末、また家族で川の字になって眠りに出かけます。それが我が家にとって、いちばんの備え。
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